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シンプルに本物志向 ―― 二人のバーキッチン

キッチンジャーナリスト本間美紀さんが訪ねた‘キッチン上手‘な暮らし

今回訪ねたのは、キッチンデザイナーの和田浩一さん夫婦のキッチン。料理とお酒が大好きな二人、子育ても一段落し、夜は夫婦で飲むことも多い。そんな二人のバーキッチンにお邪魔した。

● STORY 01
    デザイン以上に素材が大切

● STORY 02
    どんどん料理ができあがる

● STORY 03
    キッチンらしさを消す、とは?

デザイン以上に素材が大切

実はここ、3階建ての倉庫だった建物を、事務所を兼ねた住まいにリフォームしている。
素っ気なかった建物に手を入れ、美しく暮らしていることからわかるように、
夫婦の暮らしのポリシーは無駄なく、シンプルに、そして「本物だけ」。
それは生き方にも、キッチンにも料理にも貫かれている。

だからキッチンも凝ったデザインではない。
白のキャビネットにステンレスのワークトップとごくシンプル。
けれども素材の質は落とさない。

2400×900mmのアイランドは、片側からはシンク前で水まわりの作業ができる。
その反対側はスツールを置いて腰掛けられるように、カウンター下を開けている。
だから写真のように、つくる人、食べる人が向かい合って過ごすことができる。
雑然とした状態が広がらないように、シンクは割と小さめだ。最近の設計では、もっと小さくすることが多いのだという。

どんどん料理ができあがる

和田さんは本当に料理が好きである。得意料理はイタリアン。
仕事仲間や学生を集めてホームパーティを開くこともしばしば。

料理の手際が実にいい。
和田さんのキッチンからは炒め物、肉料理、パスタ。
しっかりとお腹にたまるものが次々とできあがる。
「だからうちのキッチンに欠かせないのは強い火力です」、と和田さん。

大量の湯をぐらぐらと沸かしてパスタをゆでる。厚い肉をソテーする。しっかりと煮込む。
そこで選んだのは、業務用のガスコンロだ。
大きな黒いゴトクが、シンプルな白いキッチンと好対照に存在感を放つ。

「素材さえしっかりしていれば、下ごしらえは簡単でいい。それにさっと火を通せば、何でも美味しいんですよ」。
そう話している間にもフライパンをあおる。料理がどんどんでてくる。

キッチンらしさを消す、とは?

そんなタフなキッチンである一方、和田さんが気をつけたのは、キッチンが「作業場」のように見えるのではなく、リビングとつながったくつろぎの空間になるということ。

キャビネットに白を選んだのは、キッチンに立つ人を引き立たせる背景になるように、という配慮からだという。
床に張った、赤みの強いカリン材とのバランスも考えた。

ゴミ箱や家電といった形のそろわないものは、キッチン奥のパントリーにまとめて収納した。さらに見せたくないときは、ロールスクリーンで隠すことができる。

そしてこのキッチン、リビング側はオープン収納になっている。
陶芸家でもある妻の作品や、コレクションしている陶芸作品が並ぶ。
キッチンを外側から見ると、飾り棚のようにも見えるのが不思議だ。

使わない時は静謐なリビングキッチンも、料理が始まればたちまち夫婦のバーキッチンに変わる。
そんなマジックを見せてもらった夜だった。

キッチン上手のひみつ

  • ひみつ1 素材はいいものを使う
  • ひみつ2 必要な設備をしっかり備える
  • ひみつ3 背面に大型収納

ひみつ1 素材はいいものを使う

テーブルを兼ねるキッチンのメインとなるステンレスは、4mmの厚手のもの。表面は、ステンレスをらせん状に磨いたバイブレーション仕上げで、金属の冷たさを、光を柔らかく吸い込む表情に変える。
テーブルにもなる場所だから、ギラギラとした強い印象を避けたのだ。

ひみつ2 必要な設備をしっかり備える

広さに限りがあっても、本格的な設備がキッチンを使いやすくしてくれる。ここでは火力の強いガスコンロとビルトインの食器洗い機を備えた。シンクはコンパクトでも、食器洗い機があれば後片付けはスムーズ。(幅60cm)

ひみつ3 背面に大型収納

見せる収納だけではなく、ガスコンロとの並びに大きな壁面収納がついているのに注目。
内部は細かく作り込まず、エレクターシェルフを置いて食器棚にしている。食器や道具がひと目で見渡せて便利。

HOMMA’S EYE

実は現場で見ると、写真から感じるよりもコンパクトなキッチンです。和田浩一さんはキッチンの細かい収納づくりでも定評がありますが、ご自宅のプランは意外と大らか。キッチンデザインそのものに凝るよりも、基本をしっかり作ることが、使いやすさにつながるということを教えてくれます。

Written by  Miki Homma

インテリアの専門誌「室内」の編集者を経て、「ニッポンキッチン」「マイスタイルキッチン」「キッチンジャーナル」「インターナショナルキッチンAtoZ」などを企画執筆(エクスナレッジ刊)。キッチン、暮らし、インテリア、デザインに関わる取材で活動中。2009年10月に「パーフェクトキッチン」も発売。
公式ブログ:キッチンジャーナル「キッチンのこころ」
http://blog.excite.co.jp/kitchen-journal

写真:遠藤宏

KITCHEN INFO
ワークトップ/ステンレス バイブレーション仕上げ 厚さ4mm
シンク/ステンレス特注
キャビネット/シナ合板に塗装
ガスコンロ/特注業務用コンロ
水栓金具/ハンスグローエ アクサースタルク(ハンスグローエジャパン)

KITCHEN CREATOR
住宅とキッチンの設計=STUDIO KAZ TEL 03-3684-0669
http://www.studiokaz.com/

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